新緑の季節、晴天に恵まれ風が爽やかに吹き抜ける5月15日、第2回目となる「ゆるゆる青空教室」が開催されました。
今回の青空教室のテーマは「はっぱ」。
日本では5月といえば端午の節句があり、端午の節句には柏餅を食する文化があります。この柏餅を包む柏の葉も今回の教室には無くてはならない重要な話題というかアイテムになりました。
午前10時にコーディネーター正人さんのご挨拶により、青空教室が始まりました。そして青空教室の先生である千春先生のご挨拶があり、参加者の自己紹介が行われました。
自己紹介を済ませると、一同はさくらの丘を目指して歩き出しました。
さくらの丘に着いて、まず行われたのがゲーム「同じものを見つけよう」です。
ゲームの内容はこんな感じ。
1.用意された10枚程の葉っぱを30秒で覚える
2.5分間で同じものを公園内から見つける
まず千春先生が用意した葉っぱを見やすいように並べて準備をします。本当はこの段階で私達には見えてはいけないのですが、そこは「ゆるゆる青空教室」といわれる所以、準備されているのがまる見えです。(笑)
すごく単純なゲームなのですが、葉っぱをあまり知らない私には難しいゲームです。何の葉っぱか判れば見つけだすのも簡単なことですが、葉っぱの種類が判らない私には色や形で覚えるしかなく、見つけ出すのも一苦労でした。もちろん私は全てを見つけ出すことはできませんでした。
面白かったのは、手当り次第に見つけ出す人、確実だと思える葉っぱしか取ってこない人と分かれ、ちょっとした性格診断になったことです。
そうそう、千春先生から葉っぱの仕組みについても教えていただきました。「主脈」があり「側脈」があり「葉柄」があり…。普段、あまり気にもしない葉っぱも、いろいろな役割を持つ要素で構成されています。自然の構造からはいろいろなことを学ぶことが出来ます。
次に場所を移動です。
「マムシ注意」の看板を横目に舗装されていないケモノ径を登り、あとでいただく柏餅のための葉っぱを収穫しました。西日本ではあまりカシワの木が自生しておらず、サルトリイバラの葉っぱが代用されています。
次の移動は引き続きケモノ径を登りました。登り坂の途中で止まったかと思うと、次のゲームが始まりました。「目隠しトレイル」です。
あらかじめ坂を横切るように木にロープが張られており、目隠しをしてそのロープを右手で掴んでゴールまで進む、というものです。距離にして約10m程です。
これがまた怖い!
人は人がもつ五感のうち8割近くを視覚に頼っているらしく、その視覚を奪われてロープを伝わりながらでも坂を横切るのに恐怖を感じることを認めざるを得ませんでした。足もとが見えないですし坂の途中で窪んだりしているところがあったりと次の一歩が不安でした。
あとで、私が目隠ししてロープを掴んでいる姿を写真で見せてもらったのですが、見事にヘッピリ腰でした。
木に張られたロープの張られ方にもチョットした細工があって、目隠しした状態だと手に木が当たって次にどのようにロープが張られているのか分からず、かなり不安になりました。
でも、なんだろう…!?
ゴールに到着するとチョットした達成感がありました。童心に戻り、なんでもないことだけどちょっとした達成感を味わう…とっくの昔に忘れていた何かをふっと思い出しました。
次に一同はハーブ園に向かいました。
途中、クマバチが飛んでいるのを警戒しながら、おしゃべりや景色を楽しみました。
ハーブ園ではさまざまなハーブが植えられており、独特の匂いが漂ってきます。ここでは「ハーブ占い」が行われました。
各個人で好きなハーブを一つ選び出します。そしてそのハーブで占いを行うというものです。
各自、一つ一つ丁寧にハーブの匂いを嗅いで自分の好みの匂いをチョイスしていきました。
私がチョイスしたのは「レモンバーベナ」だったかな? 占い結果は「癒されたい」だそうです。…正解!(笑)
松山総合公園内を歩き回った一同は、都市環境学習センターに戻って次なる教室「押し花コースターづくり」を体験しました。
まず都市環境学習センターのスタッフの佐野先生から説明を受けました。そして用意していただいた押し花(葉)を使って、各自、思い思いにコースターにデザインしていきます。
直径10cm程のコースターに、色とりどりの押し花(葉)を配置していきます。皆さん、あーでもない、こーでもないと、置いてみてはイメージと違うのか別の押し花(葉)と入れ替えるという作業を黙々と繰り返していきました。
用意された時間はそれほどありません。さすがは美術大学出身のA氏、テキパキと作業をされて繊細な作品を仕上げられました。
コースターへの配置を終えると、都市環境学習センターのスタッフの方がそれをラミネーターでラミネート加工をしてくれます。ラミネート加工したあとは、各自でコースターに沿って余分なラミネートをハサミで切っていき、十人十色のコースターが完成しました。
完成したコースターは持って帰ります。良いお土産と思い出になりました。
さて、今回の「ゆるゆる青空教室」も終盤です。
この教室のためにコーディネーターの二宮さんが柏餅を用意してくださっていました。といっても完成品でなく、「これからみんなで柏餅を作ろう」ということで、お餅と餡子をあとは包んで葉っぱで巻いたら完成というところまで用意されていました。
都市環境学習センターの休憩室をお借りして、みんなで柏餅を作っていきます。
教室の最初の方で収穫したサルトリイバラの葉っぱを予め電子レンジで加熱したものを用意してくれていました。これがまた、良い匂いを放ってくれます。食欲のそそる匂いです。
柏餅のほか、おにぎりやちょっとした葉っぱをメインにした昼食が用意されており、柏餅を作り終えると一同はまたさくらの丘に移動しました。
木陰をみつけてそこに一同が座り、昼食が始まりました。
今回の教室を振り返り各自の想いを発表しました。
少し自然から遠ざかった生活をしてしまっていると、改めて自然と密接に関わり、そしてそれを感じながら生活を営むことの大切さを感じました。
自然の中で適度に歩き回り、自然とのゲームを楽しみ、自然の匂いを感じ、自然の芸術を愉しむことで充実した時間を過ごせました。そして最後に自然の中で自然を食することは感謝の何ものにもかえられません。
普段、何でも無く接している自然の生き物達と視点を変えて接してみる。そこで改めて自然の意味や大切さ、自然との共存の在り方を考えさせられるような気がしました。
レポートの最後に千春先生から教えていただいた「柏の葉」の語源を、最後まで読んでいただいた皆様にもちょっとだけ…。「炊(かし)ぐ葉」だそうです。なるほど!
今回の教室でお世話になった千春先生、コーディネーターの正人さん、二宮さん、都市環境学習センターのスタッフのみなさん、そして参加された生徒のみなさん、ありがとうございました。
【授業報告:渡邉慶司】